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コメント要約
先週の金融市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)や雇用統計を受けて投資家の間での早期の利下げ開始の観測が強まる中、国債利回りが大幅に低下しました。米10年国債利回りはついに4%を割って低下しており、昨年末に掛けての債券利回りの低下を彷彿とさせます。
強弱入り混じるハイテク企業の決算が株式市場の変動を高めている一方、為替市場では、日本円で見られたようなキャリー取引の巻き戻しが、混み合ったポジションにとって継続的な下押し圧力となりました。中央銀行の行動にも拘わらず、中東では緊張が高まり、それがエスカレーションするリスクが一部反映される格好で原油価格が上昇するという状況の中で、地政学面でのノイズが高まり続けました。
また、ホワイトハウスを巡るレースも刻一刻と迫ってきており、一部の世論調査では接戦州においてハリス氏がトランプ氏をわずかにリードしたとの報道もありました。ただし依然として、トランプ氏優位の状況に変わりはないとみています。
先週の米連邦準備制度理事会(FRB)会合を振り返ると、FOMCは声明文において、金融政策の将来の道筋に関する言及をほとんどせず、ここから9月までに発表される経済指標が多くあることを考慮して、様子見の余地を残しました。とは言いながらも、インフレ及び労働市場の間でのリスクの均衡を意識する中、市場ではこの先複数回の利下げを期待する向きが加速しました。さらに、先週の新規失業保険申請数がやや増加し、ISM景況指数における雇用の指数が大幅に低下したこともあり、市場は雇用市場が急速に冷え込んでいると早期に結論づけようとしているように見えます。
しかし、直近の米労働省雇用動態調査(JOLTS)において、新規採用が急減する一方で解雇数が記録的な低さであったことにも見て取れるように、労働市場がコロナ前の標準と大きく異なることは認識する必要があるでしょう。
広範に言えば、ここ最近の米国債利回りの低下基調はこの先落ち着くとみています。年末までに100bps近い利下げが織り込まれていることを踏まえれば、市場の動きはオーバーシュートの領域に達しているとみており、年内は1-2回程度の利下げが概ねフェアであると考えています。
さらに2025年までを見据えれば、市場はいずれかの時点で米国経済がリセッションに突入することを見越した利下げを織り込んでおり、そのような見方には必ずしも同意しません。インフレ率が3%近辺に留まる中では、長期ゾーン主導のイールドカーブのスティープ化を予想したポジションに最も投資妙味があると考えています。
米国の動向とは対照的に、日本では、日銀が0.25%に利上げを実施するとともに、2025年度末までに国債買い入れ額を半減させることを約束し、政策正常化と円相場の安定に強い意志を示しました。
このような日銀の動きの大半は決定の数日前から報道されていましたが、植田総裁率いる日銀のこれまでの慎重な姿勢を意識していた金融市場にとってはややサプライズとなりました。政策金利が円相場に与える影響(及び経済に与えるネガティブな波及効果)を踏まえ、政策金利の道筋に関するより明確なガイダンスを求める政治的ノイズの高まりも植田総裁にとって決して無視出来るものではなかったとみています。会合後の会見において植田総裁は、政策金利のいかなる上限にも言及せず、将来の国債購入に関しても柔軟性を持たせるなど、今後の金融政策に関して全ての選択肢を残しました。
インフレリスクが予想を上振れる方向に傾いている中、日銀の追加利上げを予想するとともに、日本10年国債利回りは1.25%近辺がフェアバリューであるとの見方を維持しています。日銀の発表を受け、キャリー取引が巻き戻される中で、円相場は先週1米ドル=150円を突破して上昇しました。
当局による為替介入は、日銀からの明確かつ強い意志が同時に確認されない限りは一時的な影響をもたらすに過ぎないと考えてきました。そのような日銀の意思が確認された今となっては、両者の姿勢はかなり一致してきたと言え、円の持続的な上昇のために必要とされてきたきっかけがもたらされたと言えるかもしれません。
英国では、イングランド銀行(英中央銀行、BoE)が大方の市場予想通り25bpsの利下げを実施し、政策金利を5.0%としました。しかし、現時点において利下げが必要不可欠であったかどうかに関しては明確ではなく、この先数か月間での追加利下げの余地は限定的であるとみており、実際にベイリー総裁もそのような認識を示しました。
エネルギー価格におけるベース効果が剥落する中、英国の総合インフレ率は年末に掛けて再び上昇に向かうと見られるほか、サービスインフレや賃金の伸びも、インフレが持続的に2%近辺に回帰するという状況からは依然として程遠い水準にあります。そのような状況を踏まえれば、先週のBoEの利下げは今のところ「一度きり」に留まる可能性があるでしょう。
一方で、住宅価格の上昇や消費者信頼感の改善などから、英国のGDP見通しはやや改善に向かっているとみられます。したがって、先週利下げに投票した5名の金融政策委員会(MPC)メンバーは、そのサポートとなる経済指標に十分に目を向けることなく、やや気まぐれに、焦った決断をした可能性があるとみています。
その他の先進国市場における経済指標に目を向けると、ユーロ圏の7月のインフレ速報値は市場予想をやや上振れ、基調的なサービスインフレの粘着性が改めて確認されました。ユーロ圏では昨年11月以来、サービスインフレが4%近辺に留まり、基本的にはほとんど進展が見られていない点は興味深いと言えるでしょう。このような状況は、欧州中央銀行(ECB)による今年の利下げ幅を抑制することになるとみています。
豪州では、4-6月期のコアインフレ率が市場予想を下回るサプライズとなったことで、今週のオーストラリア準備銀行(豪中央銀行、RBA)による利上げに賭けていたヘッジファンドがこれを修正する動きが見られ、RBAが政策金利をより長く、高く留めることで「紙一重の着陸(narrow landing)」を目指す姿勢を維持するとの見方が強まりました。ポジション解消による豪ドルの下落は、同通貨のロング・ポジション構築の好機をもたらすとみており、政策金利差及び成長率差の縮小が今後豪ドル相場の下支えになるとみています。
エマージング市場(EM)通貨ではここ数週間、大幅なパフォーマンス差が見られており、(アジア通貨に代表される)調達通貨として人気のある通貨が日本円に連動して上昇した一方、主に中南米のキャリー通貨には継続的に下押し圧力が掛かりました。主要金利の低下はEM現地金利市場の支えとなっており、引き続き南アフリカやメキシコ、ブラジルなどの実質金利の高い現地通貨建て債券を選好しています。
社債市場では、ボラティリティが比較的低い状態が続きました。8月末に掛けては再び新発債市場が活発化すると予想されますが、それまでは発行額は低位に留まるとみています。したがって、過去のスプレッド水準を踏まえれば社債市場のバリュエーションはやや割高に見え始めているものの、現時点では需要が供給を上回ることが引き続き需給面で市場の追い風になると予想しています。
英国では、水関連会社に引き続き注目が集まりました。テムズ・ウォーターがさらに複数の格付け機関によって格下げされて完全にハイ・イールド銘柄となったほか、サザン・ウォーターも必要とされる増資が困難な状況と見られ、規制当局のさらなる悩みの種となっています。一方で、セバーン・トレントやサウス・ウエスト・ウォーターと言った同業の2発行体については新規発行を通じた資金調達に成功し、水道事業規制局(Ofwat)による規制計画に上手く対応できた発行体とそうでない発行体との間での二極化を浮き彫りにしたと言えるでしょう。
多くの変動要因はあるものの、短期的には市場参加者の多くが夏休みに入ることや、大きな変動のきっかけとなるような材料に乏しいことから、市場のボラティリティは落ち着くとみています。したがって、9月の重要なFRB及びECB会合を前に発表される経済指標の波を前に、しばらく様子見姿勢を取ることが賢明であるように思います。
さらに、地政学及び選挙を取り巻く不確実性を踏まえれば、今のところリスクテイクに慎重な姿勢を維持することが賢明と判断しています。足元の主要金利の低下は複数の投資機会を提供しているとみており、中でも米国において市場が織り込む今年末までの利下げ期待が剥落していく見方に確信を持ち始めています。
先週の中央銀行の会合を消化し、しばらくはリラックスして夏を楽しむことが出来そうです。ただし、世界の一部地域では政治情勢や衝突が激化しており、そのような状況ではないことは明白です。
そんな中で先週は、パリ五輪で、ともにメダルを獲得した北朝鮮の選手と韓国の選手が一緒にセルフィーに写る心温まる光景が見られ、平和や結束は、人と人との良好な関係の先において可能であることを示してくれました。世界中の人が、そのようなオリンピック選手の行動を見習うべきなのかもしれません。
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