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コメント要約
金融市場では先週、ボラティリティが著しく高まりました。債券利回りと株式市場は大幅に低下あるいは下落し、その後急反発しました。当初は、想定よりもややタカ派的に日銀が利上げを実施したことに伴い、為替市場で円高が進んだことがきっかけとなりました。
これにより、複数のマクロ及びシステマティックなファンドにおいてストップ・ロスが発動され、さらなる円買いにつながったほか、その他ポジションのストップ・ロスの引き金にもなりました。その過程において、キャリー取引が巻き戻されるとともに、金利は低下し、リスク資産にプレッシャーが掛かる展開となりました。
このような市場の動きは、多くの市場参加者が夏期休暇でデスクを離れ、市場流動性が低下しやすいタイミングで発生したことから、より一層過剰な価格動向となって現れ、さらに前週末の米雇用統計の内容がその動きに拍車を掛けました。
また、長きに亘る上昇局面を経て、ヘッジファンドなどのポジションは株式をロングし、一方でボラティリティをショートするというポジションを取っていました。これらのポジションもストップ・ロス価格に抵触したことで、株式の巨額の売りが誘発され、結果として下落基調に拍車が掛かることとなりました。
その結果、先週月曜日のアジア時間では極めて荒い値動きが見られ、日経平均株価はわずか8時間で12%超下落する展開となりました。
さらに、米国経済がリセッション入り間近であるとの警戒感も、このような市場展開の背景にありました。ただし、これに関する市場の懸念はかなり行き過ぎであると考えています。
概して言えば、米経済指標の内容は米国経済が概ねソフト・ランディングに向かっていることを示唆しており、リセッションを示唆する証拠は現時点ではほとんど見られません。米労働市場に関する多くの指標を見ても、その景観は概ね健全に見受けられます。
失業率こそ7月に上昇しましたが、それにはハリケーン関連の一時的な影響も含まれています。
経済活動のペースが年初の時点と比べて減速している感は否めないものの、採用数や失業保険申請件数、ISM調査におけるディフュージョン・インデックスはいずれも概ねポジティブな内容を示しています。
また、アトランタ連銀GDPナウも今四半期のGDP成長率が2.9%であることを示唆しており、株価のさらなる大幅下落によって金融環境が著しく引き締められるなどの状況がない限り、現時点で米連邦公開市場委員会(FOMC)の経済評価を大きく変化させる要因は見当たりません。
したがって、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に25bpsの利下げを実施し、その後は12月に同等の利下げ、さらに可能性としては、インフレ指標が落ち着いた状態を保てば、来年1-3月期にも25bpsの利下げを実施するとの見方を維持しています。
我々のそのような政策金利見通しは市場参加者の予想と大きく異なり、市場では先週初めに、今後半年間で140bps近い米利下げを織り込む展開となり、我々(及び米金融当局自身)の見立てを顕著に先行する格好となりました。
このような市場の動きは、2023年3月にシリコンバレー銀行(SVB)破綻に端を発するストップ・ロス取引の急増に伴う、政策金利引き下げ見通しの過剰な織り込みを彷彿とさせます。
今回も、そしてその際も、市場の動きはテクニカル主導であり、ファンダメンタルズを踏まえた価格評価とは乖離していると考えています。したがって、米国債のイールド・カーブのスティープ化を予想した取引に関して利益を実現する一方で、短期の金利先物売りを通じて、米国金利デュレーションのショート・ポジションを構築しました。
また、先週の市場変動のきっかけとなった日本円の動向に関して、多くの大規模ファンドが既にポジションを解消しているというデータも見受けられます。
さらなるストップ・ロスが誘発される要因がないことから、目先ボラティリティは落ち着き、市場は回復基調になるとみています。
したがって足元では、より方向感を持ったリスクを取るために、クレジット債のヘッジ・ポジションを削減することでクレジット・リスクをやや積み増しました。しかし、新たな価格下落の兆しには十分に注視する必要があるとみています。とりわけ、リテール投資家が今回の米国株の下落局面での押し目買いをためらうようであれば、尚更です。
その日本では、日銀高官から、市場ボラティリティが高止まりした状態でのさらなる政策引き締めは計画していないとの発言が見られました。
ただし実際には、政策自体が依然としてそれほど引き締まってはいないように感じており、引き続き、政策金利を年末までに0.50%に引き上げる政策正常化を予想しています。
日本国債利回りは、足元で他の市場と足並みを揃えて低下基調にありますが、引き続き傾向としては上昇に向かうと予想しています。また、日本の10年国債と30年国債の利回り差は、この先日銀が国債買い入れを減額させていく中で10年債利回りに上昇の余地があることを物語っていると考えています。
したがって、日本金利に関してはショートの姿勢を維持するとともに、足元では30年のゾーンに関して、他の年限と比較して割安感があるとの見方から、イールドカーブにおける10年と30年のフラット化を予想したポジションを積み増しました。
実際に、市場がオーバーシュートしてボラティリティが高まる局面は、アクティブ投資家にとっての投資機会が豊富に訪れるタイミングとなります。
多くの投資資金がパッシブ型の戦略で運用されている昨今の世の中において、短期筋の資金は実質的に機械によって操られており、そのモデルはモメンタムを選好する傾向にあります。
結果として、ボラティリティが高まる局面は定期的に訪れ、フラッシュ・クラッシュ(瞬間的な暴落)が発生します。しかしそのような機会は、逆張り的な見方をポジションに反映させることの出来る投資家にとっては魅力的なエントリーポイントを提供します。
究極的に言えば、市場の政策金利見通しが行き過ぎである可能性が極めて高いと考えている背景に、政策当局が注視しているのは実体経済で何が起きているかである点が挙げられます。その点に関して、現時点で目新しい材料はほとんどありません。
しかし、市場が大きく動く局面では、一部コメンテーターが価格動向を説明づけ、また正当化するために、ファンダメンタルズ要因を結びつける傾向は頻繁に見受けられます。
その点で言えば、足元の市場動向を踏まえて一部の銀行などがFRBの動向や経済状況の見通しに関する予想を即座に変更していることは、その分析における情報量の欠如を物語っているように思えます。
先週の動きは、ファンダメンタルズではなく、全てテクニカル要因がもたらしたものであったと捉えています。
中央銀行が常に市場動向に注意を払うことは事実であるものの、政策マンデートを達成するために、最終的に注目するのは経済指標です。結局のところ、経済こそが重要なのです!
愚かに見えるのは決して市場のみではないようです。そしてその真の「愚か者」を探すにあたって、我々は英国からそれほど遠くに行く必要はなさそうです。先週、英国各地で移民排斥を訴えるデモにおいても、愚かな行動が散見されました。
まさに「Summertime madness(夏の狂気)」と表現するに値する状況です!
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