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コメント要約
トランプ米大統領による「米国解放の日」の関税発表を受け、先週は投資家のリスク回避を背景に株価が弱含む一方、債券価格は上昇する展開となりました。4月2日に先駆けてかなりの大袈裟な発言が行われていましたが、多くの投資家は、トランプ氏の吠え声(bark)の方が、かみつき(bite)よりもひどい(つまり、口ほどの行動ではない)ことが証明されることを期待して、概ね楽観的な見方を維持していたように見受けられました。
しかし、実際に発表された内容は、グローバルに様々な税率で複雑な関税を課すものであったため、これらの措置が成長とインフレに与える影響について投資家の懸念を誘う展開となりました。
我々の分析では、グローバルの平均関税率は18%程度になると試算していますが、これに基づけば、米国の経済成長はこの先数四半期にわたって1%程度に減速し、インフレ率は約5%に跳ね上がる可能性があるとみています。
この場合、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げによって対応することは困難になるとみており、足元で見られている債券利回りの低下は、やや過剰であると分析しています。
FRBに関して言えば、パウエル議長の任期は残り12か月を切っており、何をやると決めようが、あるいはやらないと決めようが、トランプ氏が自らを非難する可能性が高いことを知っています。しかし、パウエル氏は自らのレガシーに思いをはせる中、その任期中に、一度のみならず二度もインフレ制御を誤ってしまった議長というレッテルを貼られてしまうことを警戒するであろうと思います。
この場合、失業率が大きく上昇し、景気後退懸念の引き金となるようなことがない限り、FRBは当面何もしないであろうとみています。しかし、米製造業の雇用がやや増加の兆候を見せ始めるとともに、移民が減少し、そのことが労働市場におけるスラックを減少させていることから、失業率は今後数ヶ月間でわずかに上昇するに過ぎないであろうと予想します。
欧州でも、EUがトランプ関税に報復するとみられることから、景気減速や価格上昇が見込まれます。米国と同様に、欧州中央銀行(ECB)も金融緩和という手段を通じて多くを達成することが困難になるとみています。市場では今年の年末までに65bpsの利下げが実施されることが織り込まれていますが、このような織り込みには懐疑的な見方を維持しています。EUの財政政策が緩和されることが、金融緩和の必要性を相殺する可能性が高いとみています。このような視点から、関税などの供給ショックへの対応としては財政政策が適切であるように思えます。
また、この先発生し得るマイナスの影響を和らげるために、財政余力のある他の国々も、財政拡大に向かう可能性があるでしょう。この点について、金融政策は現段階で実行する適切なツールではないとの認識は存在していますが、成長を支えられるようにいかに迅速に財政政策を展開出来るかどうかが鍵になります。
欧州の他の地域では、先週、フランスの裁判所がマリーヌ・ルペン氏の被選挙権を5年間停止させたとの報道が大きな注目を集めました。これは潜在的に、同氏が2027年の大統領職に出馬することを禁止するものです。
しかし、パリ控訴院では来夏にルペン氏を巡る判決を下すことになるとみられ、さらに、フランスの裁判官は、米国の事例から、人気のある大統領候補者を阻止しようと法廷を利用することで、結果的に彼らへのより多くの共感と支持を促すことになりかねないということを学んでいるかもしれません。
その上ルペン氏は、フランスの現政権を崩壊させ、今年の夏に新たな議会選挙を引き起こす口実もあります。同選挙では、ルペン氏の政党が勝利し、バルデラ氏が次期首相に選出される可能性があります。このような点を踏まえ、引き続きフランス国債については慎重に見ており、相対的なスプレッドの観点から、イタリア国債への選好を維持しています。
ユーロ圏とは対照的に、財政的余地がないという点で、英国の状況はより厳しいと考えています。英国は関税戦争からは比較的距離を置くことに成功し、米国の関税率はわずか10%に留まっているものの、国内のインフレ率は極めて高く、さらに貿易戦争の中で上昇する可能性があります。
イングランド銀行(英中央銀行、BoE)は、可能であれば利下げを望んでいると当社では強く感じており、そのチャンスは4月のCPI発表前の5月の金融政策委員会(MPC)であるかもしれません。しかし、英国において利下げは政策ミスとなる可能性があり、CPIは今夏に4%程度に上昇するとみています。
日本では、政策当局者が関税政策における米政権からの比較的有利な扱いを期待していた中、今回の関税引き上げが落胆とともに受け止められました。最終的には、米国にとっての、中国に対峙する上での日本の戦略的重要性を考慮すれば、米政権は日本政府との密接な関係を維持したいという意向を持っているとみられ、日本の関税は引き下げられても不思議ではないでしょう。
この点に関して言えば、米国が円高を望んでいることは明らかであり、日本の政策当局もこのような見方には同意するでしょう。加えて、成長格差や金利差は縮小に向かっていることからも、円は今後数週間でさらに上昇する余地があるとみています。
為替市場では、「米国解放の日」に投資家が米ドルを投げ売りする動きが見られ、米ドルはほとんどの先進国通貨に対して下落しました。ある意味でこれは、米国の成長見通しの弱さと、成長における米国例外主義の終焉を織り込む動きとも言えるでしょう。
加えて、世界の投資家が米国株から、より投資家に近い株式市場を選好するなど、資金フローの変化が見られることも特筆すべきでしょう。日本円を除けば、不確実性が高止まりする中で為替動向を後追いすることには慎重になっているものの、エマージング市場(EM)通貨については多くがキャリー・トレードの巻き戻しに加え、貿易やグローバル成長に関連したネガティブな進展に晒されていることにも留意する必要があると考えています。
そのような文脈において、とりわけコロンビア・ペソやタイ・バーツなどの通貨は潜在的に脆弱であるとの見方を維持しています。また、ここ最近予想以上に持ち堪えていたとの見方から、南アフリカ・ランドのショート・ポジションも積み増しました。
社債のスプレッドも他のリスク資産につられる格好で拡大しましたが、株価の動きに比べれば価格動向は比較的穏やかでした。社債市場で現在、投資家が直面している大きな課題は、成長減速がリセッション、そしてこの場合、デフォルト・サイクルにつながるかどうか、でしょう。
この点について、投資適格の発行体のバランスシートは比較的堅固であるとみており、むしろ、プライベート・クレジットのような領域で、よりレバレッジが高く、質の低い発行体に対しては警戒する必要があるとみています。
今後数日間もしくは数週間でスプレッドが拡大すれば、CDSを通じたヘッジ・ポジションを解消し、エクスポージャーを積み増す好機となるかもしれません。しかしその前に、株価の下落が底打ちしたとの確信を得ていたいと考えています。
米国の関税発表が終わり、今後報道が落ち着きを取り戻すにつれて、市場ボラティリティが和らぐことを期待したいところです。そうなれば、中央銀行が目先の金融緩和に関する市場の織り込みをプッシュバックしていくことを期待して、金利のショート・ポジションを積み増す好機となるかも知れません。しかし、株式市場の短期的な動きは不確実です。
過去6カ月間、米国の投資家は、株式市場にプレッシャーが掛かるたびに押し目買いを繰り返しており、この先もそのような傾向が続く可能性があります。しかし、とりわけS&Pで3倍といったようなレバレッジを掛けた戦略が、足元では2021年末の水準を下回る価格で取引されていることなどを踏まえれば、株式に追加投資をする熱狂が冷め始める局面も訪れるかも知れません。
その場合、調整度合いはより深くなる可能性があり、中央銀行が救済を急いでいないことが明らかになった場合には、尚更でしょう。実際、この点に関しては、株価指数に関するFRB(もしくはトランプ)プットという考えについて、しばしば意見を求められることがあります。
しかし、このような考え方を中央銀行高官と議論すると、そのような考えが真に現実味を帯びるためには、市場がこれまで以上に大きく下落する必要があるということが明確にわかります。ある意味、真のFRBプットは、米国の失業率が5%に跳ね上がるか、もしくは信用市場が混乱したときに初めて現実味を帯びると言えそうです。もしくは、S&P500 種指数が5,000を大きく下回り、金融環境が引き締まるようなことがあれば、FRBとして行動を迫られていると感じることでしょう。さらに、トランプ米大統領の支持者の中で、実際に株式所有者はほとんどいないということも念頭に置く必要があるでしょう。
実際のところ、最近ではより広く株式を保有しているのは民主党支持者である傾向があり、このことは、米政権が現状、口先で株価を押し上げることに比較的無関心であるように見えることに現れています。この点に関して先週、スコット・ベッセント財務長官が、最近の株価変動をMAGA問題ではなく、MAG7(マグニフィセント7)問題であると表現したことは、興味深い出来事でした。
さらに先を見据えると、最終的に米国政府は、大統領令を通じた関税から、10%程度と想定される一律の関税を議会を通じて立法化する方針へと転換すると予想されます。
その意味で、関税を巡る短期的なヒステリーが、中期的な受容へとつながることが期待され、2026年に向けて見通しが改善する道を開く可能性があるでしょう。そのような文脈において、もし来年、米国の景気が回復するのであれば、トランプ氏やマスク氏、そして同僚たちは、米国を再び偉大にするための変革を実行出来たことを、間違いなく祝福することでしょう。
しかし、これは想定されるシナリオの1つに過ぎず、他方で現政権は、この先回復までに何年もの時間が必要となる、前例のない自害行為の罪を犯したことを問われることになる可能性もあるでしょう。
明らかに、長期的な展望は非常に不確実です。ただし、短期的により確信を持てることは、インフレ率が急上昇するであろうということです。したがって、仮に市場が景気後退のストーリーを過度に織り込み、あまりにも多くの利下げ回数を織り込むのであれば、その逆のポジションを取ることで利益が得られると考えています。
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