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コメント要約
先週の金融資産は、4月2日の関税政策の発表以降市場の動揺が続き、激しい動きとなりました。市場が大きく下落したことを受けて、相互関税の上乗せ分について、90日間停止することをその後決定したことで、投資家はいくらか落ち着きを取り戻しました。
しかし、他国が10%の関税となる中にあっても、中国には懲罰的な関税が維持されています。このために、経済で世界最大の2ヵ国の間では貿易がかなり停滞すると見られ、潜在敵国と見ている国からサプライチェーンやビジネスを引き離すという米政権の一部の戦略的な願望を鑑みれば、中国に対する姿勢を大きく後退させる気持ちはあまりないだろうと考えています。
米国の貿易政策は、スタグフレーション的な、供給サイドにマイナスな影響をもたらす、と市場で理解されてくるにつれ、インフレ率が逆方向に大きく動くと見られる場合、中央銀行が成長をサポートするためにできることはほとんどないことも明確になってきた中にあって、債券利回りを大きく低下させた当初の質への逃避が反転したことはこたえてきていました。
長期債利回りの上昇は、英国の「トラス・ショック」のような状態にある市場をさらに不安定にするリスクがありました。このことがトランプ大統領の関税先送りの背景にあったのでしょう。2020年3月のコロナ禍以来となる流動性の悪化が見られる中、グローバル市場で損失が積み上がったために、ボラティリティの急上昇によってファンドでのポジションを投げる動きも幅広く見られました。
ここからの見通しについては、状況変化の速さを考えれば、断定的なものは難しい状態です。しかしながら、これまで当社がずっと言ってきたことは、関税は発動されてそのまま残り、今年後半に議会で法律が成立し、最終的には一律10%の輸入関税になるだろうということです。
それまでは波乱の時期となると考えていましたが、確かにその通りになっています。しかし、10%関税が最終地点であることがより明確に視野に入ってくれば、現時点の混乱の最悪期は過ぎ去るであろうと考えています。
こうしたことから、スプレッドの拡大を受けて当社ではヘッジ・ポジションを解消し、リスクを増やしていますが、今のボラティリティの状況から慎重に行動しています。その一方で、金利に対しては慎重な姿勢を維持しており、利下げの予想について否定的です。同時に、近い将来に米国の成長例外主義の終焉が訪れると考えています。
その結果、米ドルに対して弱気に転じており、日本円は上昇する良い立場にあるだろうと引き続き考えています。貿易面のショックを軽減するために財政緩和を実行できる国の通貨も、日本円と同じような見通しを持っています。
米連邦準備制度理事会(FRB)は今後数ヶ月間は政策変更をしないと当社では予想しています。原油価格の下落は近い将来のインフレ率に抑制効果があるでしょうが、それ以外の商品価格の上昇を相殺するには至らないでしょう。輸入業者が価格引き上げを行うことに加え、サプライチェーンが崩れる可能性によって商品不足が起きて、どこかで価格上昇が起きる可能性があります。
こうしたことは、インフレ期待に影響を与えて、労働市場の軟化という状況であっても、賃金上昇をもたらす可能性があります。このような場合、インフレ連動債が魅力的であろうと思っていますが、グローバルに市場が激動する中で、ブレークイーブン・インフレ率が先々週は実際には低下したことは異常だと思います。
欧州では、金融政策について欧州中央銀行(ECB)も慎重であると考えています。ドイツが財政政策を大胆に緩和することに乗り出しており、インフレ・リスクが上向きにある時に、ECBのタカ派理事の多くは今後数ヶ月、追加利下げの実施を押し返すであろうと考えています。政策理事会が中立金利とする水準に比較的近いところまで政策金利は既に引き下げられています。
対照的に、英国中銀(BOE)については他の中央銀行よりもハト派であると考えています。ほとんどのアナリストがインフレ率が上昇すると予想している時でさえ、インフレ率は低下する方向にあるという結果になると見られるモデルの分析にBOEは固執しています。BOEが5月の会合で利下げを行う可能性はありますが、当社では政策エラーとなる可能性があると考えています。インフレ率が高すぎる時に利下げをすれば、長期債利回りに上昇圧力を強め、イールドカーブのスティープ化を引き起こすだけであろうとも思います。
日本に関しては、金融政策正常化の道をもう一歩踏み出すことを検討するのは、7月であろうと考えていましたが、日本銀行(BOJ)は近いうちに追加利上げのシグナルを出すことに慎重となるでしょう。このように、植田総裁にはしばらく様子を見る時間があります。
しかしながら、日本の政策当局は日本の債券市場と長期債に流動性がないことに動揺することになる可能性があります。強制的なポジション売却で利回りは上下に激しく動き、日本国内のリスク選好にはマイナスとなるでしょう。市場のストレス時に円滑で秩序ある市場を確保して流動性を支援するために、BOJの政策関係者はおそらくもっと手を打てると思います。
長きにわたって日本の国債利回りは低い状態が続き、また日銀自身が国債の価格をほぼコントロールしていたこともあり、市場の流動性が損なわれてきました。やむを得ない正常化の後退であるので、流動性が改善することを確実にすることは政策委員会が促すべき重要な事だと思います。
先週は、輪番オペが縮小する中で、BOJが10年国債の買い入れを減額するにつれて、10年と30年のイールドカーブはフラット化すると予想していましたが、日本の超長期国債は他市場の長期国債に影響を与えた動きによって、マイナスの影響を受けました。
他市場では、イールドカーブはフラット化し過ぎており、スティープ化圧力があるとみていますが、日本では(オーストラリアも同様ですが)イールドカーブは既にスティープ化し過ぎており、今後フラット化が進むだろうと考えています。
「解放の日」に先だっての関税の発表で、トランプ政権の強硬姿勢は比較的予見可能でしたが、一部の資産で予想以上にずっと大きな動きとボラティリティをもたらした他の投資家の動きは意外であり、反省すべき点でしょう。
また、後講釈ながら、クレジット債に対するヘッジを早く外し過ぎた点も反省です。4月2日を控えて市場は油断した状態から、それ以降ヒステリー状態に変わったとの見方から、クレジット・リスクを増やしたことには満足しています。
今後の見通し
今後の見通しについては、金融市場のボラティリティは一時的に落ち着くと考えています。今後90日のうちに、交渉によって追加関税の多くは最終的に回避されると予想しています。
米国の成長率は、潜在成長率以下の1~1.5%に減速すると予想していますが、移民の取り締まりによって失業率は緩やかな上昇に留まると考えています。PCE価格指数は4%に上昇する可能性があり、FRBは政策変更を見送り、名目GDPはここ最近と大きく変わらない状況が続くことになりますが、成長は減速してインフレは高まるという、これまでと反対の組み合わせになります。
その結果、当社の予想通りリセッションが回避できても、ここで米国株に強気に転じるには、まだ株価は高いように思います。年初から価格の調整が大きくなっていることから、クレジット債のパフォーマンスは今後数週間で良くなると考えています。
他の市場については、もっと前向きに考えています。投資家は米国とマグニフィセント・セブン以外の投資機会を求めているからです。欧州資産のバリュエーションは長く低迷していましたが、それ故に買い手を引きつけると思います。
確かに、欧州の防衛関連株が、ここ最近は相対的にどれだけ爆撃的な状況に対して安全であるのかは顕著です。ボラティリティが高まる時は辛いものですが、ポジションをかなり低い水準で手放さざるを得なけい時は、特にそうです。
しかし、ボラティリティが低下する時、バリュエーションは適切であり、こうした市場の状況に反して、パフォーマンスを高める機会があります。確かに、トランプ大統領は私たちの知る世界を変えていっています。しかし同時に、諺にあるように「赤ん坊を湯水と一緒に流す(角を矯めて牛を殺す?)」必要などないのです。
トランプ大統領自身については、グローバル規模のカオスを作り出すよりもゴルフに興じている方が良いと静かに振り返っているかもしれません。世界が米国を見る、米国を信用する、米国と取引する、今後の世代のそうしたやり方を損なうことになったいるは確かでしょう。
MAGAの支持者は、終わり良ければ全て良しと言うかもしれません。しかし、トランプ大統領の政策のいくつかの背後にあるロジックにも拘わらず、その実行方法はひどく、未熟で、時には完全に無意味なものだと思います。
英国のトラス元首相とは違い、レタスが食べられなくなるよりも長くトランプ大統領はホワイトハウスにいます。クレイジーな状況のピークが過ぎ去り、今後はもっと考えて、公表される政策ステップでは協議がなされることをただ願っています。
確かに、空が落ちてくるように感じた一週間が終わり、もっと前向きな文章で終えるのは良いことです。市場は困難な状況ですが、退却することも恐怖に陥る事もなく、投資機会を求めて、大胆なままでいるべき、まさにその時です。
しかしながら、先週水曜日の朝、関税の見送りを発表するほんの数時間前に、トランプ大統領が発した「絶好の買い時」とのメッセージを信じた人にとって、先週は最高の一週間だったと思います。実際これは最初から、「トランプと投げ売り」の真逆を行くような、あらゆる市場操作の大元となる、トランプ大統領の計画であったのではないかと思わずにはいられません。
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