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コメント要約
先週の金融市場では、12月の米消費者物価指数(CPI)発表が注目を集め、コア指数で見て前年同月比3.2%とわずかながら鈍化したことを受け、米国債利回りが低下しました。しかし、一歩下がって考えてみると、米インフレ率は過去6ヶ月間、同水準近辺で概ね安定的に推移してきたと言えます。米連邦準備制度理事会(FRB)が今後数ヶ月間で金融緩和を再開するためには、インフレ率の更なる低下トレンドが必要であると考えています。
現時点においては、そのような低下トレンドが再び顕在化することにさほど確信が持てないことから、今年上半期中はFRBが政策を据え置くことを予想しています。米経済が力強いモメンタムを維持し、トランプ新政権の通商政策や移民政策、財政政策が物価の上振れリスクとなり兼ねない中で、インフレのリスクは依然として上下双方向にあるとみています。
しかし、パウエル氏自身が、金融政策は依然として比較的抑制的であると評価していることからも、米連邦公開市場委員会(FOMC)は今後数カ月間、利上げよりもむしろ利下げを実施する方向に傾いているとみています。反対に、FRBがこの先再び金融引き締めに転じるためには、インフレ率はコアCPIで見て4%、コアPCEで見て3.5%に近づく必要があると考えていますが、その可能性はそれほど高くないと考えています。
米ドルが高騰する中、関税が短期的にインフレに重大な影響を及ぼす可能性は低いと思われます。同様に、景気が底堅さを維持し、税収が持ち堪える限り、財政面で正味の緩和はあったとしても、それほど大きなものにはならないと考えられます。
そのような視点から、米2年国債利回りは4.25%前後で概ねフェアな水準にあるとの見方を維持しています。イールドカーブのさらに長期ゾーンに目を向けると、過去2カ月間はベア・スティープ化の動きが続いており、先週初めには30年債利回りが一時5.00%を突破しました。
ただし、同水準に達した今、当面はこのような動きが一服する可能性があるとみています。中期的には、イールドカーブの更なるスティープ化が進む可能性が高いとみているものの、それは短期金利に更なる低下が見られる局面で、より起きやすいと考えています。
したがって、現時点では米国金利や米国債のイールドカーブにおいて多くの投資機会がない局面に差し掛かったと判断しており、先週は同金利におけるポジションを解消しました。
欧州では、軟調な経済成長を背景に、欧州中央銀行(ECB)がこの先数ヶ月間、利下げを続けるとみています。米国と同様に、コア・インフレ率は引き続き目標を上回り、こちらは2.7%前後で推移しています。
しかし、ユーロ圏には下方リスクがより多く存在し、インフレは目標達成までの最後の「半マイル」近辺で硬直しているものの、インフレ圧力の再加速に対してECBが懸念する必要はほとんどないように思われます。したがって、ラガルド氏は、この先3四半期で、四半期ごとに25bpsの利下げを実施すると予想しています。
フランスでは、予算に関してある程度の前進が見られたことから、先週、国債スプレッドがやや縮小しました。とは言いながらも、現在のバイル政権は今年夏までの短命に留まると予想しています。今のところ、昨年夏の総選挙から12か月が経過した時点で、国民連合(RN)はバイル政権への支持を撤回し、解散総選挙につなげる道筋が、ルペン氏にとって政治的に都合が良いシナリオであると考えられます。
そのような見方を踏まえると、フランス国債のスプレッドは今後数ヶ月間に亘ってレンジ内の動きとなるかもしれませんが、ドイツ国債に対して70bps以下に縮小すれば、その先年後半に掛けてのスプレッド拡大予想を視野に入れながら、ショート・ポジションを構築する好機となるかもしれません。
先週は英国においても、インフレ指標の改善が英国債利回りの低下を促しました。12月の英コアCPIは3.2%に低下し、サービス・インフレも5.0%から4.4%に低下しました。しかし、この低下の一部は、CPIの構成要素である幾つかの不安定な品目の動きと関係しているため、注意が必要であると考えています。特に、12月は、航空運賃が前年同月比26%減となりましたが、価格取得日が早かったことで、クリスマス時期の価格上昇を十分に捉えきれなかったことも影響しているとみています。このような動き(さらにそれに伴うホテル宿泊費の動き)は来月には反転し、インフレ指標を押し上げる可能性があります。
さらに、この先数カ月間で、英国では公共料金の値上げや住居に対する地方税の上昇、食料品インフレ、さらに雇用税引き上げ分を企業が価格に転嫁することによる物価上昇なども予想されます。したがって、12月の英インフレ指標が、現時点で得られる英国の最も良いCPI指標であった可能性があるとみています。
イングランド銀行(英中央銀行、BoE)がハト派寄りで、金融緩和をしたいと考えていることは明確です。したがって、ベイリー総裁が2月の会合で4.5%に利下げしたとしても、それほどの驚きではありません。しかし、インフレ率は引き続き目標を上回っており、更なる緩和の余地は限られているとみています。同様に、財政面では、金利上昇が借入コストを押し上げることによって、政府の財政ルールが困難に直面するかもしれません。これにより、リーブス財務相は春季予算で増税や支出の削減を余儀なくされる可能性があります。
ただし、イギリスの中期的な問題の中核は、センチメントが落ち込み、政府内にもアイデアが不足しているように見える中で、成長が欠如していることでしょう。実際、成長を支えたいとの話は多くあるにも拘わらず、政府の行動はその全く逆の効果をもたらすよう設計されているようにも思えることが多くあります。
成長に関する英国政府の考えの混乱の一例として、石油・ガス産業に対する姿勢が挙げられます。英国は、北海における埋蔵によって、今後長年ガスを自給出来る国です。しかしながら石油企業は、「無意味な」気候政策のために、新たな油田開発を阻害されている状態です。「無意味」と表現するのは、この気候政策によって、結果として英国は遠く離れた地域からLNGを輸入せざるを得なくなり、その過程でサプライチェーンによる炭素ガス排出量を増やすことになるためです。
また、英国における雇用と投資が失われることとなり、つまり気候政策は英国(およびその他西欧諸国)のような国々から、世界の他の産油国に富を移転するに過ぎないと言えるでしょう。また、多くの「リベラル派」がお気に入りのコーヒーショップに立ち寄ると、コーヒーの豆が「倫理的に」調達されたものかどうか、熱心に検討するにも拘わらず、炭素ガスに関しては、こうした考えが枠から外れてしまうことも興味深いと言えるでしょう。
いずれにせよ、英国や欧州がエネルギーに過大な費用を払っていることに何の不思議もなく、もはや政策当局者は石油大手各社に対し、英国を諦め、より歓迎されるであろうニューヨーク上場へと切り替えるべきであると伝えた方が良いようにも思えます。
為替市場では、先週も英ポンドがアンダーパフォームを続け、同通貨に関しては更なる下落余地があるとみています。一方、来週金曜日の日銀の会合に先駆けて、ここ最近円がアウトパフォームを続けています。
日銀高官の発言からは経済や賃金の成長に対する自信が見て取れ、現状市場では80%程度の確率で、今月の会合での利上げが織り込まれています。日銀による引き締めが今年の円のアウトパフォームを促す要因になることを期待してきましたが、足元でも円に対して強気な見方を維持しており、とりわけ英ポンドやユーロに対する円のポジションを選好しています。
米ドルについては、今週に控えたトランプ新大統領の就任式とその後の関税に関する政策発表に市場参加者の注目が集まっています。財務長官に就任予定のスコット・ベセット氏の発言を踏まえれば、トランプ新政権チームは米ドル高を奨励するとみられ、米ドルは世界の準備通貨としての役割を維持することになるとみられます。
トランプ氏が就任から即座に動き出したいと希望していることからも、来週の今頃には、同氏が既に幾つかの大統領令を発表することを目の当たりにしているかもしれません。この点では、そのことが米ドルにとって何を意味するのかを、現時点で予測することは容易かもしれません。
今は、米ドルに対してロング・バイアスを維持することが賢明であると考えています。どちらかと言えば、トランプ氏は現状市場で織り込まれているよりも、さらに踏み込んだ発言をすることで市場を驚かせる可能性の方が高いとみています。同時に、堅調な経済指標は成長における米国例外主義が引き続き米ドルに恩恵をもたらすことを示唆しています。
投資適格社債のスプレッドは、年初以降ほぼ横ばいで推移しており、CDS指数もレンジ内の動きとなっています。1月は例年巨額の新規発行が見られる月ですが、投資家からの堅調な需要が見られ、既存の債券と比べてそれほど遜色のない価格で発行されています。
エマージング市場(EM)では、予算に関連した懸念によって、ルーマニアがやや目立ってアンダーパフォームしています。ただしルーマニアについては、他の欧州資産と比較してバリュエーションが魅力的であることなどから、引き続き選好して保有しています。ここ最近のスプレッド拡大圧力や信用格付けへの圧力が、最終的には政策当局者に強固な予算の策定を促すことにつながると期待しています。徴税における特有の弱点は留意しつつも、これに対処することはそれほど困難ではないと考えています。
日本では、金利よりも通貨において、潜在的なリターン獲得余地がより多くあると考えています。したがって先週は、来週の日銀の会合での政策変更を見越して、ユーロに対する円のロング・ポジションの確信度を最大に引き上げました。この先数ヶ月間で、円は対ユーロで160円を上回る足元の水準から、1ユーロ=145円まで上昇する可能性があるとみています。
今後の見通しとして、今週は米国で祝日を挟むやや短い一週間となりますが、決して静かな週とはならないでしょう。ワシントンDCからは多くのノイズが予想され、これが国内外の市場にどのような影響を与えるのかは興味深く見守っていきます。
現時点では、グローバルの金利リスクをほぼフラットとしています。やや削減した日本の金利のショート・ポジションの反対側で、ノルウェーやアイスランド、ハンガリーなどの金利を小幅にロングしている格好です。また、方向感を持ったクレジット・リスクも、過去3年間で最も低い水準に留めています。
その結果、全体のリスク水準は依然として低位に留め、金利やクレジットよりも、現時点で強い確信を持っている投資機会は、通貨市場においてポジションに反映されています。これにより、今後数週間で市場に何らかのミスプライスが生じた場合には、市場のボラティリティに十分に対応できる状態にあると考えています。
さらに、トランプ新政権誕生に先駆けて、政策の不確実性が存在する現時点と比べれば、この先年末までの間に、より確信を持って投資を行うことが出来る別の瞬間が訪れるとみています。
一方、ここ数日ではガザ地区での停戦が報じられ、紛争による悲惨な時期に終止符が打たれることを願ってやみません。トランプ次期大統領は既にこれを自らの功績と称えており、今後は外交においてウクライナが急速にその焦点となるかもしれません。トランプ氏が影響力を行使しようとすることで、ここでは今後数ヶ月間で「混乱した平和」がもたらされる可能性が最も高いように思えます。
その他の地域では、グリーンランドで事態がどのように展開するかと興味深く見守っています。トランプ次期政権は(中国やインド同様に)気候変動にほとんど注意を払っていないように見受けられ、(工業化以前から)2.5度の温暖化の道筋を歩むと仮定しているのかもしれません(1.5度という目標は忘れてください、それはもはやとっくの昔の話です)。
仮にそうであれば、米国は北極圏の氷が溶けることを想定し(ホッキョクグマには申し訳ない気持ちになりますが)、グリーンランドは北極圏や同地域の資源支配権を巡って戦略的な場所となり、中国も同地域への拡大を目指す機会を狙うことでしょう。
デンマークはグリーンランドを手放す気はないと反発するかもしれませんが、トランプ氏の世界では、彼が欲しいものは手に入れる計画を持っています。そんな彼がかわいそうな英国を代わりに買いたがらないのが少し残念でもあります・・・
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