低価格消費主義の台頭

Oct 22, 2024

世界中の小売業者は、価格意識の高い消費者に向けた商品を強化しています。これが中間価格帯の小売業者の困難を増幅させています。小売業界におけるこのような変化は、世界中の先進国において消費者の習慣が変化し続けていることを表していますが、新興国においても同様の傾向が見て取れます。

小売業界では価格と品質が消費者の優先的な関心事項です。これが中間価格帯の小売業者の困難につながっており、着実にその市場シェアは奪われています。伝統的な小売業者、スーパーマーケット、百貨店は、品質と価格のバランスを兼ね備えた商品を提供して消費者を満足させることに苦労しています。

私たちは、低価格小売業の台頭は世界的な持続的トレンドと考えています。今回は、この長期的なトレンドの恩恵を受けられる、低価格小売企業に焦点を当てます。

  • 品質をそれほど犠牲にせずに手頃な価格を求める消費者の欲求が鍵となります。消費者は当面の間、割安感のある購入行動を続け、生活必需品についても、それ以外の消費財についても、低価格ストアをより頻繁に利用するでしょう。
  • ディスカウントストアや低価格ストアは、大型小売店、スーパーマーケットといった従来型のチャネルに比べて、通常10~20%の価格差で商品を販売しています1。世界的にはこの種のビジネスモデルのシェア拡大が続いており、特に近年、その傾向が高まっています。欧州では、ディスカウントストアの成長は、需要の増加と新規出店を背景に小売業界全体の成長率を完全に上回っています。米国では、多様な消費者層の存在がディスカウントストアの全国的な普及を支えています。
  • Aldi社は、進出した多くの市場において低価格分野のリーダーとなっており、スーパーマーケット業界の価格設定に大きな影響を与えています。米国では、Aldiの販売価格は、従来型のスーパーマーケットよりも25~40%低い価格設定となっています2。これは、低価格ストアはどのような場所においても消費者にとって魅力的となれることの証であると考えられます。
  • 新興国でもディスカウントストアの勢いが増しています。例えば、ブラジルでは、Atacadao社とAssai社が低価格ストアの中核を担っています。コスト意識の高い顧客にアピールするキャッシュ・アンド・キャリー(現金購入)モデルで成長しており、店舗数の増加とシェア拡大が複数年にわたって続いています。トルコでは、複数の現地ディスカウント・チェーンが急速に台頭しつつあります。これは世界的に見られる低価格小売業の拡大トレンドの代表的な事例と言えます。

 

 

1,2 モルガン・スタンレー・リサーチ、2023年

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