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コメント要約
先週の金融市場では、11月5日の米大統領選におけるトランプ氏勝利の可能性が織り込まれ始めました。オンライン賭けサイトでは、60%程度の確率で同氏勝利の可能性が織り込まれています。勢いはトランプ氏にあるように見受けられ、投票日が近づいている中、ハリス氏がその流れを反転させることは日増しに困難になりつつあります。流れがトランプ氏へと向かう中、米国債利回りは上昇基調となり、米イールドカーブはスティープ化するとともに、ブレークイーブン・インフレ率は上昇に向かいました。
また為替市場では米ドルが力強さを増し、1ユーロ=1.08米ドルを割り込みました。しかし、大統領選がいまだ接戦であることに変わりはありません。その点に関して言えば、2016年の大統領選前夜、前述のような賭けサイトがトランプ氏勝利に8%程度の確率しか示していなかったことも興味深く思い起こされます。したがって、金融市場がこれ以上「トランプ・トレード」を加速させることは、現時点ではやや難しいと言えるかもしれません。
その上で、ここ最近の金融市場の動きを全て米国政治によるものと言い切ることは出来ないでしょう。米国の基調的な経済状況が価格動向の原動力となっており、グローバル市場において、経済成長における米国例外主義がますます浮き彫りとなっています。
底堅い経済指標によって、米連邦準備制度理事会(FRB)による、より積極的な利下げへの熱狂が冷めつつあります。フォワード市場では、2024年末までの米利下げ期待が40bpsまで縮小しており、2025年12月までの利下げ織り込み幅は、9月中旬と比較して75bpsも縮小しています。
したがって、米短期金利市場はほぼフェア・バリューに近い水準にあるとみています。しかし、より長期の債券利回りに関しては引き続き上昇の余地を残していると考えており、投資家が長期債を保有する上でさらに大きなターム・プレミアムを求めるとの見方から、イールドカーブはさらにスティープ化すると予想しています。選挙結果に拘わらず、財政政策は継続して拡張傾向で運営され、巨額の米国債発行が予定されている最中にあっては、尚更です。
米国経済が勢いを増す一方で、ユーロ圏の状況は日増しに薄暗くなっています。米大統領選でのトランプ氏勝利は、EUからの輸出品目に対する関税強化の可能性を高め、欧州経済見通しにさらに重石となります。
仮にトランプ大統領が誕生し、関税が発表された場合に備え、欧州中央銀行(ECB)は直近の金融緩和を加速させる用意があるとみています。また、仮にトランプ氏が勝利した場合、ラガルドECB総裁はより積極的な金融緩和を実施することでユーロ安/米ドル高を招き、実質的にトランプ氏の策略の余地を狭めることでトランプ氏にリベンジを果たしたいと考えるかもしれません。
金融市場では実際に、ECBが12月の会合でハト派姿勢を強め、50bpsの利下げを実施する可能性が40%の確率で織り込まれています。その意味で、この先数ヶ月間では金融緩和が唯一、実際に欧州が米国を上回る可能性のある分野と言えるかもしれません。
そんな中、日本では今週末に解散総選挙が予定されており、世論調査では石破新政権への低い支持率が示されています。自民党中心の連立政権が過半数を失う可能性も指摘され、新政権樹立までに幾らか政治的不透明感が強まる局面も想定されます。
その場合、石破政権への信任は極めて低く、政権自体も短命に終わる可能性があるでしょう。もしかすると、石破氏は、昨年の英国でのリズ・トラス氏さながら、レタスよりも長生き出来なかった首相という「不名誉な殿堂」入りを果たすことになってしまうかもしれません。
日本の政治的不透明感はやや不安定な金融市場につながるかもしれませんが、日本経済、ひいては日銀への影響という意味では限定的とみています。来年の春闘に関する最新の報道では、堅調な企業業績や人手不足の継続から、再び5%超の賃上げとなる可能性が示唆されています。
実際に、来年は従業員に7%もの賃上げを提示しようと既に検討している企業もあるようです。したがって、日銀は来年1月もしくは今年12月に利上げを実施するとの見方を維持しています。過去数日間で円安圧力が強まっていることもあり、足元では12月の利上げの可能性がやや高まっているように見受けられます。
英国では、今週発表される予算案に市場参加者の注目が集まっています。英国政府は「公的部門の純金融債務」の定義に基づき、負債に関するルールを修正する可能性が高いとみています。これにより、今後5年間で620億英ポンドの財政余地が示唆されますが、仮に労働党政権が増税なしに公共インフラ事業に200億英ポンド超を費やせば、この費用を吸収できなくなる可能性があると懸念しています。
また、財政余地を算出するための分析においては、政策金利や英国債利回りが低下することを前提として、足元で政府の最大の支出項目の1つとなっている年間の利払い費が年間1,000億英ポンド低減されると予想されています。英国債利回りが足元で年初来の高水準にある中、この計算には既に負担となり始めています。
ここからさらに利回りが上昇した場合、財政の余地を広げようとの政府の試みは、まさに目の前で消失してしまいかねません。投資家の間で「トラス・タントラム」の記憶がいまだ鮮明に残る中、レイチェル・リーブ財務相はまさに綱渡りの状況にあると言えそうです。したがって、英国債市場には幾らか慎重さが求められますが、まずは今週の予算案の発表を待つ必要がありそうです。
ただし、イングランド銀行(英中央銀行、BoE)によるハト派な発言を踏まえれば、英国債イールドカーブのスティープ化及び英ポンドの下落が予想されます。より全般的に言えば、足元では資産クラスとして債券よりも通貨において、米大統領選の結果次第ではボラティリティが高まる可能性があるとみています。
ハリス氏とトランプ氏の政策面での最も大きな違いが貿易及び関税策にあることを踏まえれば、11日後に迫った投票の結果次第で、米ドルと主要通貨の動きが5-10%近く異なることも十分にあり得そうです。その意味で、仮にトランプ氏が勝利すれば、1英ポンド=1.20米ドルを突破し、ユーロに対してはパリティ(等価)となるまで米ドル高が進んでも不思議ではないとみています。
社債市場は先週、比較的静かな動きとなりました。債券の絶対的な利回り水準の高さから、オールイン利回りを追求する保険会社などからの需要が見られています。それらは高格付け社債への需要の追い風となっており、現物債スプレッドの縮小基調継続を後押ししています。
一方で、CDS指数はレンジ内の動きとなっているため、相対的に現物債がCDSをアウトパフォームする格好となっています。ただし、おそらくより特筆すべきは、ユーロのスワップ・スプレッドの縮小基調が続いていることでしょう。スワップ金利が国債を大幅にアウトパフォームしていることから、ユーロのインボイス・スプレッドは縮小を続けています。ドイツ国債のスワップ・スプレッドは、昨年の現時点で60bps、1ヶ月前には30bpsでしたが、足元では15bpsまで縮小しています。
ECBが量的引き締め(QT)を開始し、貸し出し条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の返済が進む中、銀行システムにおいて国債を保有する必要性は低下しました。これまでは、ドイツ国債の担保が枯渇し、スワップ・スプレッドの拡大につながる要因となっていました。そのような(ドイツ国債の)割高感は、QTが開始される中で徐々に解消されてきました。
しかし、巨額の国債発行によってスワップ・スプレッドが0を優に下回っている米国とは異なり、ドイツ国債の発行にはドイツ政府が上限を設けています。ドイツ政府は「Schwarz-nul(黒いゼロ)」、つまり借入なしで、サイクルを通じて財政の均衡を保つことにコミットしています。これにより、ユーロのスワップ・スプレッドがこの先さらに縮小する余地は限定的となるかもしれません。
しかし、この先当面の間QTが進展し、大陸欧州では全般的に債券発行額が高止まりすると見られる中にあって、スワップ・スプレッドがさらに幾らか縮小する可能性はあるとみています。
この先を見据えると、今後2週間は米国政治から目をそらすことが難しくなるでしょう。様々な市場においてどのようにトランプ氏勝利の可能性が織り込まれているかを精査した上で、現状のポートフォリオのポジションを改めて見直し、一部ポジションに調整を加えています。ブレークイーブン・インフレ率の取引に関しては、ポジション構築以降、同水準が30bps上昇していることを踏まえ、現時点では解消し、利益を実現することが賢明であると判断しました。
一方で、米ドルに関しては、トランプ氏勝利の織り込み以上に大幅に上昇する可能性があるとみています。とりわけ、CTAなど投機筋が米ドルをショートしていることや、他の先進国と比較した成長における米国例外主義が継続的に確認されている中では、尚更です。引き続き米ドルを選好するとともに、足元で同ポジションを積み増しています。
また、米欧でのイールドカーブのスティープ化に備えたポジションも維持しています。一方で、米長期債のショート・ポジションに対して、ユーロ金利のロング・ポジションを構築しました。その他では、引き続き日本国債利回りの上昇に対する高い確信度を維持しており、ユーロに対する円のロング・ポジションも拡大させ始めています。
大統領選に向けて時計の針が進む中、これが早く終わって欲しいという感情が高まっているように思えます。最後の一押しという意味で、ハリス陣営は何とか勢いを再び取り戻そうと必死になっているようです。しかし、ここ最近のメディアでの露出はそれほど上手く行っておらず、民主党陣営の間では幾らか失望感が広がっています。
対照的に、(マク)ドナルド・トランプ氏は活気に満ちあふれており、先週は大手バーガー・チェーンで楽しそうにフレンチ・フライ(もしくはただの「ライ(嘘)」?)を配っていました。一方ハリス氏は、藁にもすがる気持ちで、もはや最近の、同バーガー・チェーンのクォーターパウンダーバーガーから大腸菌が検出されたとの報道が、遡れば彼女にとっての「いじめっ子」(=トランプ氏)によるものだったら、と願ってしまうほどかもしれません。さすがにそれは極端かもしれませんが、彼女にとって何か思いがけない幸運が必要なことは確かでしょう。
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