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経営陣の交代がスムーズに行われることが理想的です。すなわち、長く務めてきた経営者が、計画的に後継者育成を行って退き、引き継ぐ準備をしてきた社内候補者が経営者として後を継ぐということです。ハーバード・ビジネス・スクールが、15年間にわたる200の企業のCEO後継者について調査したところ、平均的に見ると、社内の後継者が企業の業績を大きく変化させることはありませんでした1。これは直感的に理解できます。似たような人が似たようなやり方で経営していれば、同じような結果となるからです。
計画的な後継者戦略があれば、企業の戦略、執行、企業文化の継続性を確保することができます。さらに、企業内部における進歩、人材の活躍、知的資本の維持を促すことができます。私たちの投資先企業における経営陣の後継者育成の状況を分析した結果、事前の計画と社内における人材育成が成功のポイントとなっていることがわかりました。様々な人材からなる優れた社内候補者プールを作ることで、取締役会は、適切な後継者を選択できるようになると考えられます。最も有望な候補者だけでなく、スキルがあり潜在性を秘めている人たちに対しても適切なトレーニングとキャリア開発を行うことで後任候補者とすることができます。これは、長期的に経営の多様性を高めようとする場合には特に重要になると考えられます。
入念に計画され、作り上げられた後継者戦略の例として、投資先であるペルーの銀行が挙げられます。CEOの退任後、取締役会は20年以上在籍し、副CEOと主要子会社のトップを務めていた社内候補者を後継者に指名しました。新しいリーダーシップの下で、円滑な交代と長期的な事業戦略とビジョンの継続が見られました。
もう一つの事例は南アフリカの包装パッケージ会社です。CFOは将来的にCEOの役割を担うことが想定されていました。事業、ステークホルダーとの関係、価値創造のための財務の活用を深く理解しており、その交代は円滑に進みました。円滑に進んだ理由を尋ねると、同氏は、目的意識をもって社内で人材を発掘し、育成することが不可欠であり、後継者計画は新しいCEOが任命された瞬間から始めるべきであると答えました。
しかし、ときには、強力な経験と実績を持つ外部の候補者を採用することで、事業に新しい視点をもたらし、戦略的な変化を示すこともできます。スペンサー・スチュアートの研究によれば、複数の企業を経営してきたS&P500のCEOを調べたところ、70%が二社目以降により良いパフォーマンスをあげたことがわかりました2。また、多くの経験豊富なCEOが、業務の効率性と収益性の改善によって、最初の数年間で株主利益に貢献していることが分かりました3。この事例としては、台湾の半導体メーカーが、世界有数の半導体ファウンドリ企業の幹部を雇ったことが挙げられます。同社のCEOは、自らの経験を活かして、事業の合理化やプロセスの最適化を行い、利益率の大幅な改善をもたらすことができました。
社内登用のCEOの割合は、MSCIエマージング・マーケット・インデックスで59%となる一方、私たちの投資先企業では約78%となっています4。また、投資先企業のCEOは、多くの場合でその前に経営幹部であったか、部門ヘッドを務めていました。さらに、CEOとしての任期はインデックス平均よりも長いことがわかりました。
創業者やファミリーが経営する企業は、多くの場合、魅力的な投資対象となりえます。経営陣は、長期的な視点で考え、厳格な投資判断を下し、価値創造に基づいた企業文化と強固な財務を備え、少数株主とも連携することができると考えています。しかし、企業のライフサイクルの中で、経営をプロフェッショナルに任せるかという避けられない決断に直面する時が来ます。この転換が成功すれば、そのファミリーが作り上げた文化と強みが維持され、強力な統制と組織構造を合わせながら、事業を成長させることができます。私たちの考えでは、プロフェッショナル経営への転換を成功させるためには、そのファミリーを事業から外す必要はありません。むしろ、オーナーファミリーとプロフェッショナル経営者の双方に明確な役割を与えることが重要かもしれません。例えば、ファミリーは戦略の長期的方向性に依然として影響を与えることができます。一般的な後継者計画と同様に、ファミリー経営からプロフェッショナル経営への移行を成功させるためには、事業と企業文化をよく理解した上で、事前計画と有力な社内候補者プールの育成が必要となります。
フィリピンのコングロマリット企業では、2世代にわたるファミリー経営からプロフェッショナル経営への移行が成功した事例があります。その2代目は取締役として関与し続けていますが、日々の企業運営は、このコングロマリットで様々な事業のリーダーを経験したプロのCEOが、6年以上前から担当しています。
私たちの経験によると、経営者の後継者計画が不十分な場合、企業の戦略的優先分野の変更につながり、資本配分の意思決定が悪化し、会社の文化が傷つき、株主価値が損なわれる可能性があります。このような影響は、表に現われてくるまでに数年かかる場合があり、事業の優位性に長期的な影響を及ぼす可能性があります。経営者の交代が成功しなかった一例として、南アフリカのメディア企業が挙げられます。創業者兼大株主がCEOを退任した後、社内から後継者を指名しました。その後、コーポレート・ガバナンスには改善が見られましたが、資本配分は適切に行われていないように感じられました。その結果、株主資本に対するディスカウント率が上昇しました。
企業の長期的優位性を評価するには、経営者の後継者計画は重要な要素であると考えています。適切な人材登用を計画しなければ、ビジネスモデルがしっかりした実績がある企業でも苦戦を強いられる可能性があります。
投資分析としては、ボトムアップの調査と投資チェックリストに後継者計画の項目を組み込んでいます。多くの投資先企業は、経営陣のメンバーを社内で昇進させていますが、いかなる経営陣の変更であっても、事業運営が継続性を持って一貫していることを私たちは確認してきました。今後も、投資した企業が信頼性の高い後継者計画を持っているかを把握するために、定期的にエンゲージメントを行っていきます。
1 「不十分な後継者計画の高いコスト」ハーバード・ビジネス・レビュー、2021年5月
2, 3 「Predicting CEO Success: When Potential Outperforms Experience」Spencer Stuart、2020年12月
4 2023年10月時点
5 「ファミリービジネスから学べること」ハーバード・ビジネス・レビュー、2012年11月
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