欧州投資家にとって政治はどの程度重要なのか

Jun 25, 2024
「個人的なものであれ、政治的なものであれ、経済的なものであれ、未来に影響を与える人間の決断は、厳密な数学的予測に頼ることはできない。というのも、そのような計算を成立させる根拠が存在しないからである。」
ジョン・メイナード・ケインズ

 

中世の銀行家に思いを馳せてほしいと思います(このような思いは日頃から抱いているわけではありません)。当時の新進気鋭のプロフェッショナルが直面する数々の問題を考えると、今日の政治的・経済的環境は実に穏やかなものに思えます。

最初の預金銀行は、当時表向きは日常茶飯事であった戦争、宗教的分裂、貨幣不足、悪徳銀行家と戦っていました。安定した環境を提供する必要があったため、地元の政治家は、この業界の規制に乗り出しました。バルセロナでは1321年に法律が制定され、債務超過に陥ったり破産したりした銀行家は、「すべての口座が回復するまで、1年間パンと水だけで拘束される」ことになりました。もしこれが失敗した場合、次に待っているのは処刑でした。銀行家のフランセスク・カステロは不運にも、1360年に自分の銀行の前で斬首されました。

あるいは、14世紀から15世紀にかけてフィレンツェで生まれた最初の金融コングロマリットを考えてみましょう。この時代の政治的混乱を乗り切るために、ペルッツィとバルディは、欧州のさまざまな国にまたがる巨大な商業取引と、ますます強力になる銀行部門を結びつけました。事業は大成功を収めたものの、困難な政治・経済環境のために最終的には倒産しました。ペルッツィ社の場合は、イングランド王エドワード3世の贅沢な生活とフランスとの戦争の資金調達のために多額の融資を行い、貸し倒れを起こしたことも原因となりました。最後に、メディチ銀行を考えてみましょう。メディチ銀行は、リスクを分散するためにさまざまな国で事業を展開していました。この銀行もまた、他の銀行家と対立し、ジュリアーノ・デ・メディチが教会の礼拝中に刺殺されたこともありました。また、エドワード4世による不履行、そして最終的にはフランス軍によるフィレンツェ侵攻にも直面しました。

これらの事例は、決して君主に融資してはいけないという以上の教訓を示しています。欧州株に対する批判や懸念としてよく挙げられるのは、政治情勢が変わりやすいということです。ビジネスは不確実性を嫌う、とよく言われます。しかし、この前提にはもうひとつ別の要素も含まれています。それは、欧州株への投資は、欧州の政治的成果、すなわち欧州の経済パフォーマンスの代理変数であるということです。

しかし、これも知られるようになりつつありますが、欧州企業は、自国よりも外国から多くの収益を生み出しているため、国内経済のパフォーマンスの代理変数となることはほとんどありません。欧州企業の収益の55%以上が自国外で生み出されているのに対して、米国は29%、日本は47%、新興国は26%にとどまっています1

 

 

1 Morgan Stanley、Global Exposure Guide、2023年

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