行き過ぎた?

Mar 24, 2025

米国帝国の終焉の始まりとなるかもしれません・・・

コメント要約

  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)において、相次ぐ政策発表によるマクロ経済の不確実性が強調される中、先週は米長期国債利回りの動きにほとんど変化が見られませんでした(やや低下しました)。
  • 関税措置に対してEU側は報復をする用意があると見られ、この先数ヶ月間は、貿易戦争が支配的なテーマとなる可能性があるでしょう。
  • トルコは、エルドアン大統領に対する反体制派の指導者であり、主要な対立候補者であるイマモール氏が拘束されたなどの多くのネガティブな要因によって脚光を浴びる展開となりました。
  • 英国では、借入コストの高止まりが英国政府の財政を圧迫している一方で、政府は増加の一途を辿る社会保障支出の削減への取り組みに苦戦しています。
  • 最近数週間の多額のCLOの発行を経て、AAA格CLOのスプレッドが20bpsも拡大しました。

先週の金融市場では、米長期国債利回りの動きにほとんど変化が見られませんでした(やや低下しました)。米連邦公開市場委員会(FOMC)では、相次ぐ政策発表により、向こう数カ月間、成長率の低下とインフレ率の上昇が予想される中、マクロ経済の不確実性が強調されました。ある意味で、市場参加者はすでに、関税や貿易政策を巡る次の大きな動きが予想される4月2日の期限を見据えているようにも感じられます。

この点に関して言えば、カナダやメキシコの例で既に見られたように、米国が25%の関税でEUに打撃を与えることを予想しています。EU側は報復をする用意があると見られ、面談した一部のEU関係者は、「トランプ米大統領の痛みの閾値を試す準備が出来ていると」と述べていたことからも、短期的に貿易摩擦は高まる一方であるとみられ、リスク資産にとっては試練になるとみています。この先数ヶ月間は、貿易戦争が支配的なテーマとなる可能性があるでしょう。

しかし、2025年末までには、25%の制裁関税が、より緩やかなスタンスに置き換えられるとみており、大統領令も議会を通じて立法化された関税へと置き換わっていくことになるとみています。

ワシントンDCの関係者と話をすると、他の国が米国の輸出品に対してそのような税を賦課するように、米国は連邦売上税を課していないという点に基づき、関税政策が完全に正当化されているという印象を受けます。さらに、世界の支配的な超大国としての地位が、他国が抵抗できない中で、米国が自ら望む結果を得ることが出来ると考えているようにも思えます。

しかし、この考えにおける弱点は、関税の賦課が経済的にはマイナスの供給ショックとして作用するかもしれないということです。関税が課されると、これは消費を減少させ(成長を低下させ)る一方で、インフレを上昇させることになります。

インフレ率の上昇は、サプライ・チェーンの分断によって増幅されるかもしれません。一部のコメンテーターの間では、そのようなインフレ・ショックは一時的なものに過ぎないと主張し、米連邦準備制度理事会(FRB)が成長鈍化への対応として利下げを実施出来ると主張するかもしれません。しかし、この種の考え方の危険性は、直近であれば2021年に目にしました。

当時、新型コロナ危機によってもたらされたものもマイナスの供給ショックでした。その際、供給ショック時の金融緩和は、インフレ的な動きをより助長する可能性があることが示されました。

賃金需要が高まり、経済全体の価格が二次的に変動することで、最終的にインフレ予想を再び落ち着かせ、価格の安定を取り戻すためには、金利がより長く、より高く留まる必要性が生じることになります。

トランプ米大統領とベッセント財務長官、及びその部下らは、既にFRBに対して短期的な価格上昇は見過ごし、追加利下げを進めようと呼びかけていることから、景気が減速するにつれて、パウエルFRB議長とFRBに対するプレッシャーは高まる一方であるように思われます。しかし、実際には、金融政策は供給ショックに対処するための政策手段ではなく、この点において、はるかに重要となるのは財政政策であると言えるでしょう。

欧州では、防衛支出増額の必要性を踏まえ、既にドイツが大幅な財政緩和を発表し、それがユーロ圏全体に広がっていることを目の当たりにしています。これは、EUの政策立案者たちから見れば、高まる貿易戦争からEU経済を守る緩衝材としての役割を果たすかもしれません。しかし米国では、連邦政府が既に大幅な赤字を抱え、さらなる財政緩和の余地は残されていない状態です。


実際、トランプ氏は米国の負債削減にコミットすると公言していますが、この点に関しては懐疑的にみています。政府効率化省(DOGE)の経費節減は、財政赤字削減ではなく、減税を賄うための資金に使われるとみています。

ただし、マスク氏による人員削減が最初に発表され、これは既に消費者センチメントに影響を与えている一方、減税の恩恵は後々にしか感じられないことから、今のところ、米国の財政政策は短期的には拡張的というよりも緊縮的なものになると考えています。

その場合、FOMCがトランプ氏の望むような利下げを実施出来なければ、米国は自らが駆り立てた責任のある貿易戦争において最大の敗者の一人になる可能性があるでしょう。

債券市場に話を戻すと、仮にこの先数ヶ月間で成長が鈍化したとしても、利回りが大幅に低下することは難しいであろうとみています。今のところ、米国経済がリセッションに陥る可能性は引き続き低いとみていますが、トレンドを下回る成長率となる期間はおそらくあるでしょう。

このような環境下において、利回りに関してフェアバリューを見定め、それに基づいて、購入したい水準や売りたい水準を検討することが賢明であるとの見方を維持しています。このような観点で言えば、米10年国債利回りのフェア・バリューは4.5%程度であるとみています。同利回りが4.2%未満に低下すれば売りポジションを検討し、4.75%に近づくにつれて買いポジションを検討することを目安としています。

リスク資産にプレッシャーが掛かり、質への逃避によって短期的に利回りが低下した場合、二週間前に先ほどのレンジを突破したタイミングで構築した、小幅なショート・ポジションにつき、積み増しを検討することになるでしょう。

為替市場では、この先一週間で米ドルが幾らか上昇する可能性があるとみています。4月2日の期限が差し迫る中、過去数週間で市場参加者はユーロの買い越しに動いており、発表を前にリスクを削減しようとする動きが見られれば、ユーロの買い越しポジションに調整が入る可能性があるためです。

また、ここ一ヶ月間の米国やその他グローバル市場に対する欧州株式市場の大幅なアウトパフォーマンスを踏まえれば、月末にややリバランスの動きが見られる可能性もあり、短期的な米ドル需要につながる可能性もあるでしょう。

とは言いながらも、中期的には米ドルに対してやや懐疑的な見方を持っており、決して米ドル安のテーマを追求するタイミングではないと考えてはいるものの、成長格差や金利差が縮小していく中で、成長における米国例外主義の時代は終わりを迎えるとの見方から、構造的には米ドル安の方向に進むとの考えを持っています。

先週行った欧州の政策担当者との議論の中では、今後の意図的な防衛及びEUのSAFE(Security Action For Europe)と名付けられた安全保障の枠組みの中で、どのように資金が使われるのかという点に焦点が当たりました。サプライチェーンを再構築する必要がある以上、インフラ関連プロジェクトへの支出は、通常の防衛支出に伴うよりも高い乗数による財政出動となる可能性が高いとの見立てを持っています。

結果として、大西洋の向こう側の米国からの貿易不確実性を脇に置けば、1.5%とみているEUの成長率はさらに上振れする可能性があるとみています。インフレに上振れリスクが存在し、EUの労働市場も相対的に逼迫していることを踏まえると、欧州中央銀行(ECB)がさらなる利下げを望む可能性は低いとの見方を維持しています。

多くの指標を踏まえても欧州経済にそれほどスラックはなく、さらに、ドイツ統一の際に実施されたよりも潜在的に大きな財政緩和が予想されることも踏まえれば、このような積極的な財政政策が展開される中で、金融緩和の余地はそれほどないように思えます。

また、英国における今後の追加利下げの可能性についても、懐疑的な見方を維持しています。景気低迷にも拘わらず、英国では賃金上昇率が年率6%程度の伸びを続けています。生産性の伸びが全くない経済では、これが2%のインフレ率と整合的となる余地はなく、インフレ期待は既に4%から5%程度のレンジに落ち着いているように思えます。

そのような中、借入コストの高止まりは英国政府の財政を圧迫しています。この点に関して、リーブス財務相は各政府省庁と協力し、見せかけのコスト効率性を模索しているようです。しかし、日増しに勤勉さの価値が下がっているような社会において、人々が社会保障や国からの支給に依存するようになっていると見られる中、政府は増加の一途を辿る社会保障支出の削減に取り組もうとはしない、もしくは取り組むことが出来ないように思われます。

税負担が歴史的に非常に高く、富裕層が税率の低い海外へ移住する動きにつながっていることを踏まえれば、スターマー政権は板挟み状態にあると見られ、より抜本的な改革を促すためには、さらに大きな危機が必要なのかもしれません。

しかし、現在のところ経済成長率は依然として低迷し、インフレも課題となっています。そのような状況を踏まえ、英10年国債利回りが4.5%未満に低下すれば、ショート・ポジション構築の好機となる可能性があるとみています。また、スタグフレーション・リスクの高まりは、最終的に英ポンドの下押し圧力にもなるとみています。

日本では、先週の日銀の会合がそれほど材料視されることなく終わりました。春闘の賃金交渉が5%を超える賃上げとなることを確認したのち、7月までに次回の利上げが実施され、政策金利が0.75%になることを予想していますが、7月に参院選を控える中で石破氏の弱体化が進んでいることから、国内の政治情勢が日銀の決定タイミングに影響を与える可能性があるとみています。

その他の地域では、トルコが先週、多くのネガティブな要因によって脚光を浴びる展開となりました。エルドアン大統領に対する反体制派の指導者であり、主要な対立候補者であるイマモール氏が拘束されたとの報道があったためです。これを受けてトルコの資産は軒並み下落し、通貨リラは一時10%も下落しました。政治的に言えば、この報道は建設的とは言えませんが、世界的に政治的な強者が優勢を強めているように見える今日において、このことが最終的にどれほど問題になるのかどうかは不透明です。

社債市場は週を通して概ね落ち着いた動きとなり、株式市場もまた、過去数週間の浮き沈みを経て先週は安定的に推移しました。前述の通り、4月2日の貿易関連の発表がリスク資産市場における次なるボラティリティのきっかけとなる可能性があるとみており、比較的慎重な姿勢を維持しています。

また、最近数週間の多額のCLOの発行を経て、AAA格CLOのスプレッドが20bpsも拡大したことも興味深く受け止めました。このことは、短期的な消化不良を示唆していますが、投資可能な戦略においては、保守的な取引の一環として高クオリティのキャリーを保有することは魅力的であると考えています。

一方、ガザ地区での紛争再開は、残念であるとともにある程度予測可能でもあったため、金融市場への影響は限定的でした。しかし、先週ホワイトハウスとの電話会談の場で、プーチン氏もトランプ氏を鼻であしらっているように見られたことから、日が経つにつれ、多方面において米大統領の無敵のマントが疑問視されるようになっているようにも見受けられます。

通貨に関しては、今後の成長格差及び金利差の縮小に加え、日米の政策当局からの圧力や日本の投資家からの国内資産へのポートフォリオのシフト、割安感を踏まえ、引き続き円への選好を維持しています。

さらに、投資家のリスク回避的な動きが進展した場合には、質への逃避において円はトップ・パフォーマーになる可能性があるとみており、このような側面から、ポートフォリオ構築における魅力的なリスクオフ・ヘッジにもなり得ると考えています。

 

本資料はブルーベイ・アセット・マネジメント・インターナショナル・リミテッド(以下、当社)が情報の提供のみを目的として作成したものであり、特定の投資商品の取引や資産運用サービスの提供の勧誘又は推奨を目的とするものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。本資料は信頼できると判断した情報に基づき作成しておりますが、当社がその正確性、完全性、妥当性等を保証するものではなく、その誤謬についての責任を負うものではありません。本資料に記載された内容は本資料作成時点のものであり、今後予告なく変更される可能性があります。また、過去の実績は将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。なお、当社の書面による事前の許可なく、本資料の全部又は一部を複製、転用、配布することはご遠慮ください。当社との金融商品取引契約の締結にあたっては、下記の投資リスク及びご負担いただく手数料等について契約締結前交付書面等を十分にお読みいただきご確認の上、お客様ご自身でご判断ください。

 

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